親知らずが黒いのはなぜ?6つの原因&抜歯すべきかの判断ポイント
- 2021.08.20
親知らずは歯ブラシが届きにくいから、虫歯になりやすい。
こんなことがよく言われていますし、親知らずが黒くなっているのを見て、真っ先に虫歯を疑う人も多いです。
とはいえ、虫歯以外が原因で親知らずが黒いケースもよくあります。
そこで本記事では、「なぜ親知らずが黒いのか」が気になっている方に向けて、以下の2つのポイントを歯科医師・田口が重点的に解説します。
・親知らずが黒い6つの原因&治療法
・黒い親知らずを抜歯すべきかの判断ポイント
5分くらいで読めますし、読み終わるころには放置しても問題ないかの結論が出るはずです。
ぜひ、最後までご一読くださいね!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
日本補綴歯科学会所属
日本接着歯学会所属
日本口腔インプラント学会所属
【詳しい経歴はこちら】
親知らずが黒いのはなぜ?6つの原因&治療法
親知らずが黒い原因は、大きく分けて
①虫歯
②着色汚れ(ステイン)
③黒い歯石
④詰め物の変色
⑤神経を抜いた影響による変色
⑥薬の副作用
の6つです。
どういうことか、それぞれお話していきますね!
①虫歯
第一に、虫歯が
- エナメル質の内部
- 象牙質(ぞうげしつ)
まで進行すると、親知らずが黒く見えることがあります。
エナメル質の内部にできた初期虫歯はC1と呼ばれ、痛みやしみるなどの自覚症状法ほとんどありません。
一方で象牙質まで進行した虫歯はC2と呼ばれ、冷たいものや甘いものを食べると痛みやしみるなどの症状を感じることがあります。
治療法
親知らずは、清掃状況が悪くなりやすく虫歯の再発リスクが高いことから、生え方やお口の環境によっては抜歯を勧められるケースが多いです。
抜かずに治療する場合には、以下のように虫歯の進行度によって治療法が異なります。
- C1の虫歯:虫歯の部分を削って、白いプラスチック(レジン)を詰める
- C2の場合:虫歯の部分を削って、型取り後に銀色の詰め物(インレー)をする※
※保険適用の治療法です。自費診療の場合には、白い詰め物も選べます。
②着色汚れ(ステイン)
第二に、親知らずが黒い原因は「着色汚れ(ステイン)」が関係している可能性があります。
虫歯と見分けがつきにくいですが、黒よりも茶色く変色しているケースが多いです。
特に、
- ワインやコーヒーをよく飲む
- 喫煙習慣がある
方は、親知らずに限らず歯全体が着色しやすくなっています。
治療法
着色汚れを落としたい場合には、歯医者の専門器具を使ったクリーニングを受けるのがおすすめです。
- スケーラーと呼ばれる超音波を使った機器
- エアフローと呼ばれるパウダー状のウォータースプレー
で、親知らずだけでなく歯全体の着色を落とせます。
③黒い歯石
第三に、親知らずが黒い原因は「黒い歯石」が関係していると考えられます。
黒い歯石とは、歯周病が悪化したときに歯と歯茎の間(歯周ポケット)にできる歯石です。
別名、「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」と呼ばれ、ほとんどは歯茎の中に隠れているので肉眼では確認できません。
一度できてしまうと硬く取り除きにくいため、通常の歯磨きでは除去できないのが特徴になっています。
放置していると、
- 口臭
- 歯茎が腫れたり出血する
- 歯を支える骨を溶けて、歯が抜ける
などの問題が発生します。
治療法
親知らずに黒い歯石ができている場合には、生え方やお口の環境によって抜歯を勧められるケースが多いです。
抜かずに黒い歯石の除去する場合は、歯医者でSRP(スケーリング・ルートプレーニング)と呼ばれるクリーニングを受ける必要があります。
また、歯周ポケットが深くなっておりSPRで除去しきれない場合には、歯茎の一部を切開して歯石を除去する手術が必要になります。
④詰め物の変色
親知らずが黒い4つ目の原因は、「詰め物の変色」です。
過去に親知らずの虫歯治療を行ったことがある方は、こちらの原因に該当する可能性があります。
というのも、虫歯の部位を削り穴を埋めるときに使うのは人工物のため、経年劣化して変色してしまうことがあるからです。
銀の詰め物や被せ物が入っている場合には、銀歯の金属が唾液などで溶けて歯茎が黒く変色するケースもあります。
治療法
ただの変色であれば、治療が必要ないケースもあります。
ただし、詰め物の下の歯が再度虫歯になっている場合もあります。
自己判断は難しいので、一度歯医者で状態をチェックしてもらいましょう。
⑤神経を抜いた影響による変色
親知らずが黒い4つ目の原因は、「神経を抜いた影響による変色」です。
虫歯や事故などが原因で親知らずの神経を抜いた場合には、時間が経つと茶色~黒色に変色するケースがあります。
これは、神経がなくなることで親知らずに栄養が供給できなくなり、代謝の働きがなくなってしまうことが関係しています。
治療法
神経抜いた親知らずが変色した際は、健康上の問題はなく、奥歯なのであまり見えることがないことから経過観察になるケースが多いです。
ただし、どうしても気になる場合には、
- ウォーキングブリーチ
- 白い被せ物を入れる
の2つの治療法で親知らずを白くできます。
①は、神経を取った歯の中に直接ホワイトニング剤を入れる治療法です。
隣の歯と色が合うまでに、約1回~4回の薬の交換を繰り返します。
ただし、時間の経過とともに歯の色が元に戻ってしまう可能性がある点に注意が必要です。
②は親知らずを少し削り、型取りして上から白い被せ物をかぶせる治療法になります。
①とは異なり歯を削るデメリットがありますが、時間が経っても色が元に戻ることはありません。
⑥薬の副作用
親知らずが黒い6つ目の原因は、「薬の副作用」です。
テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質を一定期間内に服用した場合に、変色する場合があります。
治療法
薬の副作用による親知らずの変色については健康上の問題はなく、奥歯なのであまり見えることがないことから経過観察になるケースが多いです。
仮にどうしても気になる場合には、白い被せ物を入れる治療法もあります。
上記6つのどの原因に該当するかは、歯医者で検査してみないとわからないことが多いです。
放置すると状態が悪化することもあるので、まずは歯医者で相談してみましょう!!
では次に、親知らずが黒いときに抜歯すべきか判断するポイントを紹介していきます。
黒い親知らずを抜歯すべきかの判断ポイント
黒い親知らずで、以下のケースに該当する場合には、今後のお口の健康を考えて抜歯するのがおすすめです。
①痛みや腫れを感じたことがある
②虫歯や歯周病になっている
③親知らずの噛み合う歯がない
④横向きまたは埋もれた状態で生えている
⑤嚢胞(のうほう)の原因になっている
ただし、
- 上下の歯が噛み合っている
- 虫歯や歯周病の症状がない
- 清掃状態が良い
場合には、無理して抜歯をする必要はありません。
歯医者の定期検診で経過を観察しながら、良好な状態を保っていきましょう!
痛みや腫れがなくても歯が黒いときは歯医者に行くべき?
A.痛みや腫れがなくても、歯医者に行くのがおすすめです。
というのも、仮に虫歯や歯周病が原因で歯が黒く変色していても、症状が進行するまでは自覚症状がないケースが多いからです。
逆に言えば、痛みや腫れを感じる頃には、重症化していて手の施しようがない状態になっている場合もあります。
基本的には、変色などの問題を発生する前から、定期的に歯医者に通う習慣をつけておくことで親知らずを含む歯全体を守れますよ!
親知らずが黒いのはなぜ?の結論
それでは最後に、「親知らずが黒いのはなぜ?」の重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
親知らずが黒い原因は、大きく分けて
①虫歯
②着色汚れ(ステイン)
③黒い歯石
④詰め物の変色
⑤神経を抜いた影響による変色
⑥薬の副作用
の6つです。
それぞれ抜歯するかの判断は、
①痛みや腫れを感じたことがある
②虫歯や歯周病になっている
③親知らずの噛み合う歯がない
④横向きまたは埋もれた状態で生えている
⑤嚢胞(のうほう)の原因になっている
の5つのケースに該当するか否かで変わります。
「どの原因に該当するか」や「抜歯が必要か」の判断は、専門家によるチェックが必要です。
気になる場合には、状態が悪化する前に歯医者で相談をしてみましょう!
以上、今回は「なぜ親知らずが黒いのか?」について紹介しました。
当院では、親知らずが黒い原因を探るために、日本口腔外科学会所属の認定医がしっかり検査・診断を行います。
ご心配な場合には、お気軽にご相談くださいね^^
さいたま市・戸田市で治療をお考えなら北戸田COCO歯科へ