親知らずを抜歯せずに神経を抜くメリットが少ない理由!通常の歯との違いは?
- 2022.03.30
通常の歯は、虫歯が進行して神経まで達してしまっても、
- 抜髄(ばつずい)
- 根管治療(こんかんちりょう)
という方法で神経の処置を行って、少しでも自分の歯を長く使えるようにします。
しかし、親知らずの場合には、神経を抜く処置をするぐらいなら抜歯したほうが良いと言われるケースが多いです。
その際に、
なぜ、親知らずはすぐに抜歯するんだろう?
親知らず以外の歯のように、治療をして残さなくても平気かな?
と気になることがありますよね。
そこで本記事では、日本口腔外科学会・認定医が在籍する北戸田COCO歯科が
- 親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由
- 親知らず以外の歯は、神経を抜いてまで残すのはなぜ?
の順に、「親知らず」と「歯の神経を抜く」ことに焦点をあてて、解説していきます。
ぜひ、参考にしてくださいね^^
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
日本補綴歯科学会所属
日本接着歯学会所属
日本口腔インプラント学会所属
【詳しい経歴はこちら】
親知らずの神経を抜くメリットが少ない4つの理由
通常の歯とは異なり、親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由には、
- 最奥の歯なので、治療負担が大きい
- 虫歯や歯周病が再発するケースが多い
- 隣接する歯に悪影響を及ぼす可能性がある
- 治療をしても長持ちしないケースが多い
の4つが大きく関係しています。
それぞれどういうことか、お話していきますね!
①最奥の歯なので、治療負担が大きい
親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由1つ目は、「最奥の歯なので、治療負担が大きい」です。
というのも、抜髄や根管治療はかなり複雑で、そもそも歯科の中でも難易度が高い治療の一つに分類されています。
なぜなら、神経を抜いて歯を残すためには、
- 歯科医師には、歯の根の中(根管内)が直接見えない
- 歯の根の中(根管内)の構造が複雑
という状況で、歯の根の中を無菌にする処置を行わなければならないからです。
その上で、親知らずの場合は根が複数あり湾曲した形状も多いことから通常よりも
- 長時間、お口を大きく開けてもらわなければならない
- 複数の根の中がすべてキレイになるまで、何度も通院してもらうる
といった傾向が強く、患者さまの治療負担が大きくなっています。
「それでも歯を残すメリットは大きいんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、この次に紹介する3つの理由から親知らずの場合にはそうとも言えません。
②虫歯や歯周病が再発するケースが多い
親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由2つ目は、「虫歯や歯周病が再発するケースが多い」です。
そもそも親知らずは、最奥に生えており歯ブラシが当たりにくいことから、通常の歯よりも虫歯・歯周病のリスクが高くなっています。
そのため、せっかく治療をしても虫歯や歯周病が再発してしまうケースが多いのです。
神経を抜いた歯は痛みを感じなくなり、異常があっても自覚できずに状態が悪化してしまいやすいので、親知らずの場合は特に抜かずに残しておくとトラブルの元になりやすいでしょう。
③隣接する歯に悪影響を及ぼす可能性がある
親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由3つ目は、「隣接する歯に悪影響を及ぼす可能性がある」です。
先ほど、『神経を抜いた歯は痛みを感じなくなり、異常があっても自覚できずに状態が悪化してしまうケースが多い』とお伝えしました。
その際に発生する問題が、親知らずの手前の歯に悪影響が出ることです。
具体的には、気づかないうちに虫歯や歯周病が悪化することで、
- 虫歯になった歯そのものを失うだけでなく、隣の歯にも感染が広がる
- 歯周病で隣の歯を支える顎骨が溶かされて、健康な歯まで失うことになる
といったトラブルが発生し、どんどんお口の中から健康な歯が減ってしまうしまいます。
そのため、
- そもそも噛み合わせと関係ない
- 虫歯や歯周病リスクが高い
- 生え方に問題があり、管理が難しい
といった親知らずの場合には、「残すメリット・デメリット」を比較したときに、治療をせずに抜いたほうが良いケースが多いのです。
④治療をしても長持ちしないケースが多い
親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由4つ目は、「治療をしても長持ちしないケースが多い」です。
歯の神経には、
- 神経を通じて、歯に栄養を与える
- 痛みで歯のトラブルを知らせる
といった歯の健康を維持するのに必要な役割があります。
そのため、歯の神経を抜くと、
- 栄養が行き届かず歯がもろくなり、割れやすくなる
- 痛みを感じないため、虫歯や歯周病の状態が悪化しても自覚症状がほぼない
などが原因で、神経がある歯よりも約10年ほど寿命が短くなってしまうのです。
上記の理由から治療負担と寿命を考えた場合に、親知らずについては抜いたほうがメリットが大きいと言えます。
では次に、なぜ親知らず以外の歯は、抜歯せずに神経を抜くケースが多いのかについてお話していきます。
親知らず以外の歯は、抜歯せずに神経を抜くのはなぜ?
親知らず以外の歯は抜歯をせずに神経を抜く理由は、少しでも長く天然歯(自分の歯)を使ったほうがメリットが大きいからです。
というのも、親知らずは抜歯をしても、歯がない部分に人工歯を入れる必要はありません。
なぜなら、親知らずは本来無くても困らない歯だからです。
一方で、親知らず以外の歯は抜けたまま放置すると問題が発生します。
そのため、歯がない部分には人工歯を入れるのですが、
- 天然歯よりも優れた人工歯は存在しない
- 健康な歯が犠牲になるのを防げる
といった2つの理由があり、通常の歯の場合は神経の処置をしてでも、天然歯(自分の歯)を長く使ったほうがお口全体の健康にとって良いケースが多くなっています。
それぞれの理由について、どういうことか詳しく説明していきますね!
①天然歯よりも優れた人工歯は存在しない
親知らず以外の歯は抜歯をせずに神経を抜く理由1つ目は、「天然歯よりも優れた人工歯は存在しない」です。
歯を失ったときの代表的な治療法には、
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラント
の3つがありますが、耐久性や噛み心地において天然歯(自分の歯)に勝る歯は存在しません。
また、天然歯には歯根膜があり、噛んだ刺激を歯を支える顎骨までしっかり伝えてくれるので、骨吸収(骨が溶けてなくなること)を防げるという点において人工歯よりも優れています。
それなら親知らずも残したほうが良いのでは?
と思うかもしれませんが、先に説明したとおり親知らずの場合には、
- 抜いても人工歯を入れる必要がない
- 残すほうがトラブルの元になり、お口の健康を害する可能性が高い
といった理由から、神経の処置が必要になるほど虫歯が悪化した親知らずは、抜いたほうが良いと考えられるケースが多くなっています。
②健康な歯が犠牲になるのを防げる
親知らず以外の歯は抜歯をせずに神経を抜く理由2つ目は、「健康な歯が犠牲になるのを防げる」です。
親知らず以外の歯については、歯を失った際には代わりになる人工歯を入れる必要があります。
というのも、歯が抜けたままにしていると、
- かみ合わせや歯並びが悪くなる
- 噛む力の負荷を他の歯が補うことで、健康な歯も崩壊していく
などのデメリットが発生するからです。
ただし、保険適用の治療である
- ブリッジ
- 入れ歯
で人工歯を入れた場合は、歯がない部分の負担を隣接する歯の力を借りて補うため、結果的に両隣の健康な歯の寿命を縮めてしまいます。
また、インプラントは自立式で両隣の歯にはダメージを与えませんが、「治療費が高い」や「外科手術を受けなくてはならない」といったデメリットが発生してしまうのです。
つまり、親知らず以外の歯については、神経の処置をしてでも残したほうが、お口全体の健康をコスパ良く維持できるケースが多くなっています。
親知らずを抜歯せずに神経を抜くの結論
それでは最後に、「親知らず」と「神経を抜く」ことについて、重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由には、
①最奥の歯なので、治療負担が大きい
②虫歯や歯周病が再発するケースが多い
③隣接する歯に悪影響を及ぼす可能性がある
④治療をしても長持ちしないケースが多い
の4つが大きく関係しています。
一方で通常の歯は、親知らずとは異なり、抜いた後に人工歯を入れる必要があります。
しかし、
①天然歯よりも優れた人工歯は存在しない
②健康な歯が犠牲になるのを防げる
といった2つの理由から、親知らず以外の歯については、神経の処置をしてでも残したほうがお口全体の健康をコスパ良く維持できるケースが多いです。
以上、今回は親知らずの神経を抜くメリットが少ない理由についてお話しました。
親知らずと通常の歯では、神経の処置をして残したときに発生するメリット・デメリットに大きな違いが出ます。
「親知らず=すべて抜かなければならない歯」というわけではありませんが、虫歯が悪化して神経を抜く必要性が出た場合には、抜歯を検討したほうが良いでしょう!
もちろん抜歯への抵抗感が強い場合には、お口の中を拝見した上で個別にご相談に乗ることも可能です。
ご不安な点がある場合には、ぜひ一度お問い合わせいただければと思います^^
さいたま市・戸田市で治療をお考えなら北戸田COCO歯科へ