妊娠中に親知らずが痛い!抜歯はできる?注意点を歯科医師が解説
- 2022.03.29
妊娠中に親知らずが痛くなってしまったけど、抜歯できるのかな?
痛いのに抜歯できない場合は、どうすればいいのかな?
といった問題に直面している方。
実は、妊娠中は親知らずをはじめとする歯の問題が起こりやすい時期です。
ですので、理想は妊娠前に親知らずを含む歯の治療を終わらせていただくのがベストなのですが、すでに妊娠中の方はどうすればいいか迷われますよね。
そこで本記事では、日本口腔外科学会・認定医が在籍する北戸田COCO歯科が、
- 妊娠中に親知らずが痛いと感じる人が多い理由
- 【時期別】妊娠中に親知らずが痛い場合の対応
- 妊娠中に親知らずが痛いときに抜歯する際のQ&A
- 妊娠中に親知らず以外の歯が痛いときの対処法
の順に、妊娠中のデリケートな時期に親知らず問題が発生したときの対処法や注意点を紹介していきます。
さっそく、本文にうつっていきましょう!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
日本補綴歯科学会所属
日本接着歯学会所属
日本口腔インプラント学会所属
【詳しい経歴はこちら】
妊娠中に親知らずが痛いと感じる人が多い理由
妊娠中に親知らずが痛いと感じる人が多い理由には、ホルモンバランスの変化で虫歯や歯周病のリスクが高くなることが関係しています。
というのも、妊娠をするとホルモンバランスの変化で、
- 食事や間食の回数が増える
- 歯周病の細菌が増殖する
- お口の健康を守ってくれる唾液の自浄作用効果が低下する
- つわりで歯磨きがしっかりできなくなる
- 食嗜好が変化し、通常よりも糖分の多い飲食物や酸性食品の摂取が増える
などが起き、お口の環境が悪化しやすくなるからです。
では次に、上記のような理由で妊娠中に親知らずが痛くなってしまった場合の対応を紹介していきます。
【時期別】妊娠中に親知らずが痛い場合の対応!抜歯は可能?
妊娠中に親知らずが痛い場合は、
- 妊娠初期:痛みや炎症を和らげる応急処置が推奨される
- 妊娠中期:簡単な抜歯であれば可能
- 妊娠後期:相談の上で処置内容を決める
のように、時期によって対応が異なるのが一般的です。
それぞれどういうことか、お話していきますね!
妊娠初期:痛みや炎症を和らげる応急処置が推奨される
妊娠初期「妊娠1〜4ヶ月(0〜15週)」に親知らずが痛い場合には、痛みや炎症を和らげる応急処置が推奨されます。
というのも妊娠初期は、
- 母体:つわりなど体調の変化が起きやすい
- 赤ちゃん:中枢神経や心臓といった重要な器官が形成される
時期のため、切迫流産のリスク等を下げるためにも治療を避けたほうが良いからです。
具体的には、緊急時を除いて飲み薬やレントゲン撮影は避けて、
- 歯ぐきの洗浄
- 歯のクリーニング
など、母体にストレスがかからない範囲で痛みや炎症を和らげる処置が行われます。
妊娠中期:簡単な抜歯であれば処置が可能
妊娠中期「妊娠5〜7ヶ月(16~27週)」に親知らずが痛い場合には、簡単な抜歯であれば処置が可能になります。
というのも、妊娠中期は安定期と呼ばれ、歯の治療をするのに最も適した母子ともに体調が安定しやすい時期だからです。
ただし、
- 簡単に抜けない難抜歯であったり
- つわりが治まっていなかったり
する場合には、無理をして抜歯する必要はありません。
痛みや炎症を和らげる応急処置を行った上で、担当医と相談をして産後の落ち着いた時期に抜歯をしたほうが良いでしょう。
妊娠後期:相談の上で処置内容を決める
妊娠後期「妊娠8〜10ヶ月(28~40週)」に親知らずが痛い場合には、担当医または産婦人科医と相談の上で処置内容を決めます。
ただし、お腹が大きくなってきている影響で、治療のために長時間同じ体勢で処置をするのが難しくなります。
そのため、緊急時でない場合には、妊娠初期と同様に痛みや炎症を和らげる応急処置を行うケースが多いでしょう。
では次に、妊娠中に親知らずを抜歯することになった場合によくある質問にお答えしていきます。
妊娠中に親知らずが痛いときに抜歯する際のQ&A
妊娠中に親知らずを抜歯する際に患者さまからよくある質問は、
- 安定期であれば、すぐに抜いてもらえる?
- 抜歯時に麻酔を使っても平気なの?
- 痛み止めや抗生物質などの薬は飲める?
- レントゲン撮影をしても、問題ないの?
の4つです。
それぞれ回答していきますね!
Q1:安定期であれば、すぐに抜いてもらえる?
A.痛みが出ている場合には、すぐに抜くことはできません。
というのも、妊娠中に限った話ではないのですが、痛みや腫れなどの症状が出ている状態での抜歯をすると、
- 麻酔が効きにくい
- 炎症が悪化しやすい
などの問題が発生するリスクが高まるからです。
安定期の場合には、妊娠中でも安全に使用できる薬剤を飲んでいただき、痛みや腫れが治まってから抜歯をします。
Q2:抜歯時に麻酔を使っても平気なの?
A.問題ありません。
というのも、通常の歯科治療で使われる局所麻酔は、
- 使用量もわずかで
- 局所で分解されるため
胎児に影響が出ないからです。
むしろ、痛みを我慢して抜歯をしたほうが母子へのストレスが大きくかかってしまいます。
ただし、
- 麻酔が効きにくかったことがある
- 麻酔後に体調を崩したことがある
- 安全だと言われても妊娠中に麻酔するのが不安
という場合には、妊娠中に麻酔をして抜歯する必要はありません。
担当医と相談の上、無理せず出産後の抜歯を検討したほうが良いでしょう。
Q3:痛み止めや抗生物質などの薬は飲める?
A.飲めます。
というのも、歯科治療で処方される薬剤は、妊娠中でも安全に使用できる薬剤が選ばれているからです。
ただし、妊娠初期はデリケートな時期になるため、できるだけ薬物の服用を避けたほうが良いでしょう。
中期以降に薬が処方されて心配な場合は、
- 歯科医師
- 薬剤師
- かかりつけの産婦人科
などで相談してみるのがおすすめです。
Q4:レントゲン撮影をしても、問題ないの?
A.お腹の赤ちゃんへの危険性はかなり低いです。
というのも、
- 歯医者のエックス線の放射線量はごくわずかで
- 照射部位も子宮から離れているから
です。
ただし、問診時には必ず妊娠中であることを伝えましょう。
レントゲン撮影時に防護用エプロンを着用させてもらうことで、より安全度を高められます。
では次に、妊娠中に親知らず以外の歯が痛いときの対処法を紹介していきます。
妊娠中に親知らず以外の歯が痛いときの対処法
妊娠中に親知らず以外の歯が痛いときも、基本的に妊娠中期(安定期)以外に積極的な治療はしません。
というのも、やはり妊娠初期や後期の歯科治療は、母体への負担が大きいケースがあるからです。
ただし、妊婦の歯周病は早産・低体重児出産の原因になる可能性があります。
そのため、痛みや自覚症状がなくても、安定期に入ったらお口の中のクリーニングや検診を受けに歯医者に行くのがおすすめです。
妊娠中に親知らずが痛いときの結論
それでは最後に、妊娠中に親知らずが痛い時に知っておきたい重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
妊娠中に親知らずが痛いと感じる人が多い理由には、ホルモンバランスの変化で虫歯や歯周病のリスクが高くなることが関係しています。
妊娠中に親知らずが痛い場合は、
・妊娠初期:痛みや炎症を和らげる応急処置が推奨される
・妊娠中期:簡単な抜歯であれば可能
・妊娠後期:相談の上で処置内容を決める
のように時期によって対応が異なります。
妊娠中期の
・歯医者で処方された薬の服用
・レントゲン撮影
・麻酔
については問題がないケースが多いです。
ご心配な場合には、かかりつけの産婦人科医・歯医者に相談してみると良いでしょう。
一般的な歯科治療も妊娠中期であれば問題ないケースが多いです。
以上、今回は妊娠中の親知らずの痛みについてお話しました。
妊娠中はなにかと不安な場面も多いと思います。
もし親知らずの痛みが強くなった場合には、ぜひ遠慮なくお問い合わせいただければ幸いです^^
産婦人科医と連携をとり、母体に配慮した処置をご提案いたします!
さいたま市・戸田市で治療をお考えなら北戸田COCO歯科へ